4点セット小論文 第1講・段落3兄弟

 いきなりネタが古いですが段落構成のお話です。さっそく行ってみましょう。

小論文とは

 小論文とは、読んで字のごとく小さい(短い)論文のことです。では「論文」を辞書でひいてみましょう。


yahoo辞書−大辞泉」より

ろん‐ぶん【論文】

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論議する文。筋道を立てて述べた文。

2 学術的な研究の結果などを述べた文章。「博士―」


ということです。大学受験の小論文では、基本的に課題文が与えられてそれに対する意見を決められた文字数で述べる、という形式です。なので、ここに出ているような学術的な研究の成果を述べるような大げさなものではありません。単純に自分の意見を筋道を立てて述べていく文章のことです。小さい(短い)論文といえど、筋道立てて自分の意見を相手に伝える、という作業が必要不可欠です。ここからはその方法を学んでいきましょう。論文というと難しそうな感じがしますが、大丈夫ですよ。これからお話しする4つのポイントだけをおさえるだけで誰でもいい感じの小論文が書けるようになります。前置きが長くなりましたが、まず1ポイントめです。

段落?

 だいたい大学受験では、先ほども述べましたように、課題文が与えられてそれに対する意見を決められた文字数で述べる、という形式が一般的です。では、決められた文字数とはどのくらいなのか、というのが不安であると思うのですが、800字から1200字というのが一般的なようです。小論文に関しては、歴史が浅いこと、各大学によって小論文を科すことによって量りたい能力が異なること、というような要因があるせいで一概にはいえませんが、全体的に見てやはり800字から1200字というのが一般的(たまには2000字を越えるものから20字、30字で意見をまとめるようなものもありますが)。ここでは、一般的な800字から1200字のものについて考えていきます。
 

 段落というのは意味のまとまりのグループのことです。いわゆる文章を分解してみましょう。中学校で習う「言葉の単位」というものです。まず言葉の一番小さな単位は「単語」ですね。いいですか?次に小さな単位は「文節」です。この文節がいくつか集まって「文」を作ります。同じ話題について触れているいくつかの文が集まって「段落」を作ります。

<文>
昨日、私は仲の良い友達と一緒に図書館へ行きました。


<文節で分けると>
「昨日」「私は」「仲の」「良い」「友達と」「一緒に」「図書館へ」「行きました」


<単語で分けると>
「昨日」「私」「は」「仲」「の」「良い」「友達」「と」「一緒」「に」「図書館」「へ」「行き」「まし」「た」


※学校で習ういわゆる「橋本文法」です

段落3兄弟

 さて、この段落ですが、小論文を書く上でどのくらいに分ければいいのでしょうか。分けるにしてもむやみやたらと分けるわけにはいきません。分けすぎるとごちゃごちゃして見難い、という印象になってしまいますし、分けなさすぎても冗長な印象になってしまいます。ここで『段落3兄弟』の登場です。そう、基本的に段落は3つに分けていきます。
 

 3兄弟を紹介しましょう。長男・序論くん、次男・本論くん、三男・結論くんの3兄弟です。序論くんと結論くんは性格がよく似ていて、言いたいことをズバっと言う性格です。「あなたはどう思いますか?」の質問に「こう思う!」と二人とも単刀直入に答えてしまいます。この二人の性格はよく似ているので、言葉はそれぞれ多少の違いはありますが、言ってる内容は同じです。しかし、二人とも意見しか言わないので、はたから見ていてなぜそう考えるのか、というのがよくわかりません。そこで本論くんがしかたなく理由を説明する役に回るのです。しかも、本論くんはとてもやさしい性格なので、序論くんと結論くんの意見と対立する意見を持つ相手へのフォローを決して忘れません。3兄弟はとても仲良しなので、いつも3人揃ってお出かけです。

序・本・結の3段構成で!

 ここまで前置きが非常に長くなってしまいましたが、小論文を書くときは基本は序論・本論・結論の3段構成が基本です。序論の部分にこれから書く内容についての概要(問題提起+それに対する意見)、結論の部分に意見、そして本論の部分にはそのような意見に至る理由を記述していきます。

 
 段落3兄弟のところで触れたように、序論と結論には基本的には同じことを書きます。すなわち、意見が2度繰り返されるということです。ただし、そのまま同じことを繰り返し書いただけでは体裁が悪いので、言葉は少し変えてやります。しかし、結論に書く内容は絶対に序論で書いた内容と変えてはいけません。必ず首尾一貫して同じ意見を貫くこと。冒頭と最後で意見が食い違っている小論文など採点対象外です。


 本論のところには意見の元となる理由を書きます。なぜそう思うに至ったかという思考の過程をそのまま文章にする作業です。ここでのポイントは2点、譲歩と具体例。譲歩とは、対立する意見を頭から否定するのではなく、一定の範囲で受け入れることです。例えば、BSE問題に関して、全頭検査が必要か否か、という問題があったとします。

全頭検査は必要である。消費者の安心感を取り戻すためには全頭検査しかありえない。

と書くよりも、

確かに、抜き打ち検査という形でもBSEの牛にあたる確率は交通事故に遭う確率よりも低いという意見にも納得できる。交通事故に遭う確率より低いのであれば、全頭検査というのは科学的ではないであろう。しかし、消費者の安心感を取り戻すにはもはや全頭検査しかありえない。

と書いた方が、反対する意見を持つ人にも受け入れられやすいでしょう。このように、自分の意見をよりよく相手に伝えるためには、頭ごなしに反対意見を否定するのではなく、一旦反対意見を飲み込むことも大事になってきます。また、伝えたい意見を肯定するような具体例を入れることによって、より説得力のある文章になります。

確かに、抜き打ち検査という形でもBSEの牛にあたる確率は交通事故に遭う確率よりも低いという意見にも納得できる。交通事故に遭う確率より低いのであれば、全頭検査というのは科学的ではないであろう。しかし、消費者の安心感を取り戻すにはもはや全頭検査しかありえない。熊本県のある調査でも全頭検査を望む消費者が全体の68パーセントを占めているように、全頭検査抜きにして消費者の安心感を取り戻す方法はないのである。

ここでは具体的な数字を出すことによって、自分の意見の説得力が増したのが分かると思います。


まとめると

1序論(問題提起+意見)
2本論(意見の理由→譲歩、具体例)「確かに、例えば」
3結論(意見→序論の意見と同じ内容)

こんな感じです。次からこの講についての例題をやりながら詳しく説明していきます。(了)