はじめに

 僕がそう勝手に呼んでるだけなんですが、小論文には材料の問題と設計の問題があります。材料の問題とは、課題に対する知識やそこから生まれる自分自身の考えと相手に伝達したい事柄のことです。それに対して設計の問題とは、どのような言葉を使ったりどのような文章の構成のしかたをしたりしたらよりよく相手に伝わるかという伝達の方法のことです。
 小論文はこの2つのポイントで成り立っています。材料だけあっても設計図がまともでなければいい小論文はできませんし、反対にいくらいい設計図があっても材料が揃ってなければ同じことです。小論文の勉強を始めるにあたって勘違いしてはいけないのは、あくまでこの2つのポイントが揃って初めて小論文は完成するということです。受験生の中にはどこをどう間違えた指導を受けてきたのか、設計の問題のみを考えている人がいますが、これは大きな間違いです。小論文はあくまでも2つのポイントが揃って小論文です。これは断言しておきます。小論文の参考書や、学校・塾等での指導で「意見がなくても書き方の決まり事に従って書くだけ」「うそでもいいから書きやすい意見を書いていればいい」などとされているのをよく見かけますが、これはあながち間違いではないと言えないこともないですが、根本的に間違っていると言っておきます。志望学部の過去問なり授業内容なりを調べて、求められている知識を把握して身に付けていくことが小論文の勉強の第一歩であると考えておいてください。もし今高校生で、志望学部が理学部ならまず数学の先生をつかまえてアドバイスをもらい、材料がそろった時点で国語の先生のところへ行きましょう。間違っても最初から最後まで国語の先生のところへ行かないように。
 僕は設計担当ですので、ここからの内容は材料がすでにある程度揃っているのを前提にお話していきます。(了)